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エシカルハウスの家に暮らすお施主様の様子を取材してご紹介します
 

高気密高断熱に惹かれ、エシカルハウスを訪問

新潟市西蒲区に新築をしたSさん夫婦。2022年9月に完成した家は、海のように広がる田んぼを一望できるロケーションが魅力です。
 

 
取材に訪れたのは竣工後1年が経つ9月。ちょうど稲刈りが始まる時期で、稲が黄金色に輝いていました。
「独身時代からインテリアが好きで、アパートの部屋をDIYで模様替えをして楽しんでいました。いずれは家を建てたいなと思っていて、2人目の子どもが生まれたのを機にいくつかの住宅会社さんを訪ね始めました」(奥様)。
以前同じ西蒲区で借りていたアパートの課題は、夏の暑さや冬の寒さが厳しかったことだといいます。「冬は閉めている窓からいつも冷たい風が吹いていました。窓回りにプラ板や梱包に使うプチプチを張っていましたが、それでも寒かったです」(奥様)。
結露で窓の下がびしょびしょになるため、吸水シートも欠かせなかったといいます。
「冬はお風呂場もとても寒くて、暖房をつけて暖めてから子どもを入れるようにしていました」。
 

 
以前から住宅情報誌を見るのが好きだった奥様は、『ハウジングこまち』で見つけたエシカルハウスの広告が印象に残っていたのだそう。
「一般の住宅よりも壁を厚くして、その中に断熱材をしっかりと詰め込み、断熱性能を高める。憧れの住宅会社さんだったので、他の会社さんも回っている時に一度見てみようと思って訪ねたんです。事務所の奥にある菅原さん家族が暮らす家も見せて頂きました。大きな吹き抜けをつくっても家中が快適な温度に保てるという話が衝撃的でしたね。それから、床に使われていた杉の無垢材は築後何年も経っているので傷が付いていましたが、それが嫌な感じではなく、いい味わいになっていました。特に営業を受けるような感じがなかったのも安心感がありました」と奥様。
 

 

奇をてらわない安定感のある外観

エシカルハウスに相談すると、土地探しのサポートをしてもらったそうです。
「一面景色が抜けているところに住みたくて、この土地を選びました。実は検討しているうちに他の方が先に購入を決めてしまったんです。これ以上にいい土地がない…と落ち込んでいましたが、後日キャンセルすることになったと聞いて、すぐに購入を決めました」(奥様)。
そして、その雄大な田園風景を眺められる家をエシカルハウスと共につくり上げました。
 

 
建物は約130坪の敷地の右手側に、カーポートは土地の左手前にレイアウト。それ以外の土地には天然芝が広がっており、ご主人と息子さんがラダートレーニングやキャッチボールをする場所として活用しています。
 
 
建物の外観はしっかりと軒が出たエシカルハウスらしい堅実な佇まい。1階部分は杉板の鎧張り、2階部分はメンテナンスフリーの塗り壁“そとん壁”。この仕上げもエシカルハウス定番の仕様です。
 

 
広い土地の一角には家庭菜園もつくられています。
 
 
「以前から畑をやってみたかったんです。夏野菜が終わり、今はサツマイモや白菜、キャベツなどを育てています」と奥様。
玄関やポーチがあるのは、総二階の建物から突き出した下屋部分。
 

 
1坪のポーチは袖壁にしっかりと守られており、悪天候でも安心して出入りができます。
 

年間の冷暖房費は次世代省エネ基準住宅の1/3以下

玄関は1坪。上がり框の下に仕込まれた間接照明が、豆砂利洗い出し仕上げの土間を優しく照らしています。
 

 
木目が美しい造作の下駄箱の上にはドウダンツツジ。のれんの先には1坪のクロークがあります。
 

 
玄関の窓台にはタマネギが入った籠が置かれていますが、ここは出窓ではありません。付加断熱によって壁の厚さが210mmもあるから自ずと窓台が大きくなっているのですが、この奥行から断熱性能の高さがうかがえます。
ちなみに、S邸の断熱性能はUA値0.27(HEAT20G2グレード)。冷暖房負荷を試算するシミュレーションソフト「QPEX」を使い、年間の冷暖房にかかるエネルギー消費量が次世代省エネ基準住宅の1/3以下になるように設計しています。
 

洗面脱衣室は4.5畳。3本のポールで物干しがスムーズに

玄関で靴を脱ぎ、目の前の引き戸を開けると、廊下が奥に伸びていました。右手には造作の収納棚兼手洗いスペースが配されています。
 

 
この手洗いスペースは奥様が描いた図面を元に製作したもので、どこに何を入れるかを具体的にイメージした上でつくられています。
 
 
手洗いスペースの隣は4.5畳のゆとりある洗面脱衣室。
 

 
「家事がしやすい家にしたくて、洗濯と物干しが完結できる広い脱衣室にして頂きました。洗濯物を持って2階に上がりたくなかったので、ここで乾かした洗濯物は隣のウォークインクローゼットに収納できるようにしています」と奥様。
 
 
洗面台・鏡・棚が造作されており、あらゆるものがシステマチックに収納できるのもこの洗面脱衣室のポイント。
 

 
すぐ隣にある2.5畳のウォークインクローゼットには、壁一面の有孔ボードが備えられており、普段使いのバッグもきれいに収納されています。
 

ゴミ箱置きや冷凍庫のスペースまで計画したカップボード

廊下の突き当たりにあるキッチンも奥様のこだわりが詰め込まれた空間。
 

 
廊下側とダイニング側の両方から入れるキッチンの壁側には、オーク材の木目が美しいカップボードが造作されています。
こちらも奥様が何をどこに収納するかを綿密に考えて描いた図面がベース。
 

 
「菅原さんの家のカップボードの奥行が長くて使いやすそうだったので、同じようなサイズにして頂きました。ゴミ箱は目立たないようにしながらも使いやすいようにキャスター付きにしています。それから冷凍食品を保存できるように、冷凍庫を置けるスペースもつくりました」(奥様)。
収納の多くは引き出しや戸で中身が見えないようにしており、オープンな棚も雑多に見えないように籠を活用してすっきりと整えています。
 

 
籠に入ったじゃがいもやかぼちゃなどの野菜も、インテリアの一部として空間に溶け込んでいます。
 

四季折々の風情を感じさせる田園風景

キッチンの隣はダイニング。窓の向こうには田園風景と弥彦山を望めます。
 

 
壁の中に隠された障子を引き出すと、和の趣きがあふれる空間に早変わり。
 
 
ダイニングのコーナーからLDK全体を見渡すと、リビング側の吹き抜けからたっぷりと光が注いでいる様子が見られます。
 

 
杉の無垢フローリングに、天然素材のシラスでつくられた塗り壁。温かみある自然素材の内装に観葉植物が調和しています。
そして、リビングの大きな窓の向こうに広がっているのは、何キロも先まで遮るものがない開放的な風景。
 
 
「家が完成して初めて入った時、あまりの景色の美しさに涙が出ました」と奥様。
冬は大空を白鳥が行き交い、5月には水をたたえた水田が湖のように風景を映し出します。そして、夏になり稲が成長すると、田んぼは濃い緑一色に染まります。
「初夏もいいですが、稲刈り前の今の時期が特に好きです。夏が終わり空が高くなって、景色がより広く見えるのがいいですね」(奥様)。
横並びのダイニングとキッチンは食事の準備や片付けがスムーズで、リビングで遊ぶお子様たちの様子もよく見えます。
 

 
ダイニングの奥はデスクとしても使えるキャビネット。格子の中には床下エアコンが隠されています。
 
 
リビングの階段に目を向けると、その下には家の形に切り欠かれた小さなスペースがありました。
 

 
「子どもが狭い所に入るのが好きなので、隠れられる場所をつくって上げたいと思って」とご主人。そんな遊び心も大事にしています。
 

 

美しい風景を見渡す2階の特等席

次に階段を上がって2階へ行ってみました。2階に配されているのは3つの個室とホール。吹き抜けと階段部分で上下階がつながっており、そこを空気が循環します。夏場は2階のエアコンからの冷気が1階へと巡り、冬場は1階の床下エアコンからの暖気が2階へと行き渡ります。
 

 
そして、吹き抜けに面したホールからは、1階以上にダイナミックな景色を望めました。
 
 
窓の向こうには黄金色の田んぼと弥彦山。その上には大きな空が広がっています。
ホールの隣の個室に設けられた縦長の窓は奥様の特等席。
 

 
「窓台に座りやすい高さにして頂きました」と奥様。窓によって切り取られた景色は、額に飾られた絵画のようです。
 

 
 

暑さ寒さのストレスがない暮らしを実現

UA値0.27で次世代省エネ基準の1/3以下の冷暖房エネルギーで暮らせるS邸。1年住んでみての感想を聞いてみました。
「家中が暖かくなり、冬に子どもがお風呂から上がる時に急かすことがなくなりました。それから、アパートの時は寝る時に子どもにダウンのスリーパーを着せていましたが、それももう必要ありません。羽毛布団も使わなくなりました。冬は床下エアコンを24℃設定でつけっぱなしにしておいて、夜だけ1℃上げていました。特に乾燥し過ぎることもなく湿度もちょうど良かったです。
夏も快適でしたね。玄関に入った瞬間から涼しいんですよ。2階のエアコンを26℃設定でつけっぱなしにしていました。午後になるとどうしても西側の大きい窓から日差しが入ってくるので、窓の外にシェードを張り、室内の障子を閉めることで日差しを遮っていました。
それから、2階の寝室がちょっと奥まった場所で温度が下がりにくいのですが、サーキュレーターで廊下の空気を送るようにしたら快適に過ごせるようになりました。
 

 
あとは、家事がしやすいつくりなので、ゆっくりする時間が増えたのもこの家に住んで変わったことです。今後は庭に木や花を増やしていきたいですね」(奥様)。
 
 
「生活動線がよく快適に暮らせています。広い庭で子どもたちと遊べるようになったのもこの家に住んで満足していることです」とご主人。
リビングのあちらこちらには、奥様が実家からもらってきたという古道具が置かれ、空間に調和しています。
 

 
 
「古い建物や道具が好きなんです。この家の杉の床は傷が増えていきますが、その経年変化も楽しみです」と奥様。
 

 
快適な温熱環境に包まれ、大らかな風景を眺める暮らし。この家には心地よく穏やかな時間がゆっくりと流れています。
 
S邸
新潟市西蒲区
延床面積 35.07坪
竣工年月 2022年9月
設計・施工  エシカルハウス 株式会社菅原建築設計事務所
写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平